転んでから立ち上がるより転ばぬ先の杖をあげた方が楽でしょう

この春新中1になる小学6年生や、新高1になる中学3年生たちは、新生活を夢見ています。やりたいこともたくさんあるでしょうし、不安と期待が入り交じった楽しい時期ではないでしょうか。

やりたいことが多いからこそ、邪魔に感じるのが勉強の時間。いやあ、痛いほどよく分かります。私だって真面目な学生生活ばかり送ってきたわけではありませんからね。

いつも生徒を指導していて思うのは、「ああ、この子を中1(高1)から指導してたらもっと伸びただろうに」ということ。我々教える側の立場から見える景色と、指導を受ける側から見た視点の違いをひしひしと感じます。

まず転ばせたい保護者の方が多いらしい

今年の新中1生、つまり現小6生のいくつかのご家庭から聞こえたのが、「理社が苦手だからやらせておきたい」という意見です。

実は例年からすると珍しいんですよね、これ。中には本人自ら苦手なのを自覚しており、理社を受けたいと言っているご家庭も。ああ、なんて真面目でやる気のある子なんでしょう。

例年のパターンだと、決めゼリフがあるのです。それがコレ。

「まず自力でやらせてみて、出来なくなってきたらやらせます」

圧倒的な多数派だと感じています。塾通いも大変です。金銭的にもそうですが、送迎とかも実は結構大変ですからね。

さて、このつまずかせてからフォローをする流れ、しつけの上では有効だと思います。確かに1度痛い目を見たら次から気をつけるようになるでしょうね。

そういえばウチの娘、まだ寝返りを打てない=動けない事を良いことにソファの上に寝かせておいたら、「ゴスン」という音と共に頭から落下してくれました。床にあったぬいぐるみに向かって必死に手を伸ばしていたら動いてしまったようです。アメイジング。

下にマットが引いてあったから全くケガはしませんでしたが、ビックリして泣き叫ぶ娘を見て「二度と目を離すまい」と心に誓いました。

親子ともに痛い目を見ましたが、つい最近1歳になった娘は恐怖心を覚えるでもなく嬉々としてソファやらベッドの上からダイブしようとしています。せっかく痛い目見たのに無意味!

気をつけているのは親だけだったというオチです。

実は痛い目を見ても子どもは直ぐに忘れます。中学生はテスト後の反省だけ立派ですが、喉元過ぎれば熱さを忘れ、2週間もすれば平常運転です。前回のテストであったことなど無かったかのようです。

保護者だけが焦るという図式です。乳幼児も中学生もまあ似たような感じでしょう。

転んだからまず傷を治すところから始まります

中1の理社を例にとって挙げたのですが、まだ通塾しているだけ良いと思います。問題なのが、「出来なくなったら塾に通わせます」という方。実際にほとんどの方はこのパターンで入塾してくるのですが、勉強の習慣があってやり方が非効率だっただけの子は比較的すぐに伸び始めます。今年の中3生にもいましたね、爆発的に伸びた子が。

問題は勉強習慣が全くないため出来ない子(当たり前ですね)。この状態でいくら塾の授業を受けても、理解はしても定着できません。まず勉強習慣をつける以前に、勉強の意味から説いていく事になります。だから、比較的伸び始めるまでに時間がかかるのが普通です。

中1生や高1生で気をつけなければならないのは、「出来なくなったら始める」の「出来ない内容」が中学校や高校の根幹となる内容であるという事実です。

例えば、中1数学なら正負の数でつまずく人は少なく、文字式で分からなくなる事が多いですね。そのままでは方程式も比例反比例も理解出来なくなっていくため、まず文字式で負った傷を癒やしてから進む必要があります。

高1英語でつまずくのはもっと厄介で、何につまずいているのかサッパリ自覚は無いのに点数だけは悪くなっていく事が多々あります。まずは検査をしてガンを特定し、それから処置をしていくわけですね。だいたい文型をナメてるパターンが多いですけど。

他の学年ならいざ知らず、それぞれの最初の学年は分からなくなったときの危険度が跳ね上がります。

だから、もし塾通いをする予定なら「出来なくなってから」ではなく「最初から」が一番効果的なんです。その転ばぬ先の杖を与える事ができるのは、やはり保護者の方をおいて他にはありません。

新高1生はよく分からない自信に満ちている

中1生はまだ勉強に関して素人さんが多いのである意味謙虚です。なかなか手に負えないのが高1生。入試を突破したことで自信がついたのか、高校の勉強も大丈夫!と自らに太鼓判を押す子がかなりいます。

んー、でも中学の勉強って簡単なんですよね。高校の勉強の方が比較するのも馬鹿らしいくらい難しい。確かに高校入試に向けた努力は素晴らしいですが、入試が終わったとたん将来の事をそっちのけで遊びまくっていませんか?9割以上の中3生がそうじゃないですか?

別に自慢にもなりませんが、私は春休みも勉強していました。宿題が鬼のようにあったのが原因ですが、それ以外にも自分で買った問題集を解いたりして、何とかポテンシャルが落ちるのを防ぐくらいのことはしていました。

それでも高校でつまずくんですからね。

春休みに遊びほうけておきながら、入学したら部活と両立して勉強時間を確保し、強烈な難易度の勉強をスムーズにやっていく……説得力なさすぎでしょう。

鈍った頭にとんでもないカウンターパンチが来ますからね、高校。

何もこの時期に勉強だけしていろというわけではありません。自己管理が出来てしっかり勉強にも取り組めているなら、遊ぶ時間だってたくさん取ることが出来るでしょう。そういう子は私たちの助けなど無くとも充実した高校生活を送ることが出来ると思います。

また、中1生と高1生の違いは、通塾率の違いですね。

中1生だと、出来なくなったら塾の出番、となります。ところが、高1生は周りに塾通いをしている子が少ないため、つまずいても自力で何とかしようとします。それはそれで結構なことなのですが……何とかしなきゃと考えるだけで具体的な手段を取らない子ばかり。

そんなときは、高校生でも塾に頼った方が良いと思います。

結局、スタートで弾みがついた子が上位に君臨することになります。我々塾は、まず早々に上位へ踊り出させてしまうことに集中します。だから最初から指導していると効率よく成績が取れるのです。

まとめ

「1年生」は本当に重要です。

最初に勉強習慣が身についてしまえば、それ以降やるのが当たり前になります。塾に通うのは大変ですし、宿題も少なくありません。それを丸ごと生活のペースに取り込んでしまうと、当たり前のレベルが上がります。

一方、勉強しないことが当たり前になってしまうと、危機感も薄れますし、いざやろうと試みてもなかなか上手くいきません。それでも諦めずに努力を続ければ、ジワジワと成績も上がってきます。今回テストの点がググっと反応したウチの新3年生もそんな兆候が見られます。

よーい、ドン!とスタートは同時に切られますが、駆け出す子と止まっている子がいるのです。止まっている子は慌てて走り出すものの、足がついていかず転んでしまうかもしれません。お子さんが駆け出していなかったら、少しでも早くお尻を叩いてでもスタートを切らせてあげましょう。

つまずくまえに杖を持つ。
その杖を携えて、これからの3年間を安心して過ごしていって欲しいと思います。