2019夏期特訓のお知らせ

失敗例に学ぶ とある高校生の成績が転落した3つの理由

かつて、とあるT君という高校生がいました。私が高校生に対して指導していることは、すべてこのT君の反面教師で成り立っています。

T君は、入学後1年間で学年順位が200位下がるという見事な転落ぶりを見せました。客観的に考えれば、当然の結果です。彼のやらかしたことが、これから高校生になる人や、現在進行形でつまづいている高校1年生の参考になると思います。

たった1年間で天国から地獄に転落

T君は中学で学年トップクラスをキープし、高校は地元の進学校へ進みました。入試が終わってからも、高校から入学前の課題が出されていたり、なにより暇で手持ちぶさたになっていたので、入試勉強ほどではなくもとコツコツ勉強を続けていました。

そのかいあって、入学後直ぐに行われる新入生テストでは上位1/5に入る好成績。各中学校のトップクラスが集まる学校で上位に食い込めたことで、ちょっと自信を持ってしまったんですね。

しかし、これが頂点でした。

T君はそれから1年間で、学年順位が急降下しました。中学校ではおよそ見ることの無い順位、200番台後半です。ちなみに学年350人程度しかいませんので、上位1/5はおろか、下位1/5にリーチ、という悲惨な状況でした。順位の急落が起こるのは高校の怖いところです。

入学当初の自信はどこへやら、さすがに危機感を覚えたT君は高2の最初で部活を辞め、勉強に専念する事になったのです。

では、なぜT君の成績はあっという間に下がってしまったのでしょうか。

成績が転落した理由

高校の内容は難しいから

まず1つは、習う内容が難しいことです。

すごく単純な理由ですよね。でも、本当に理解していない高校生が多い。

中学とは比較になりません。例えば、高校1年生の最後くらいに「中学の数学ってどうだった?」と聞くと、「何で当時数学が出来なかったのか謎だった」と答える子がいます。それだけ高校の数学が難しく、中学の数学が単純だということです。

T君が恐ろしいくらい躓いたのは英語。誰でも難しさを感じる数学と異なり、英語は虫歯のように気づかぬうちにジワジワと悪化していき、痛みに気づいたときには手に負えないレベルになっている極めて危険な科目です。

もちろん進学校に入れたのですから、中学校では英語が出来ていたはず。ただ、ある程度以上の実力がある子だと、中学英語はあまり難しいことを考えなくても取れてしまいます。そのナメ切った状態で高校英語も攻略できると勘違いしてしまうと、T君のようになるのです。

ちなみにT君の英語ですが、高2最後の模試で全国偏差値28をたたき出しています。これでようやく「俺って英語ヤバいんじゃね?」と気づいたのですから、如何にお花畑だったのかが分かるというものです。

さて、T君は進学校ですが、それ以外の学校は平気かというと、そんな事はありません。例えば、高1数学で習う「三角比」ですが、sin,cosに初めて触れたときは大変難しく感じます。これらは基本事項ですから、どの高校でも学習する内容です。つまり、どんな易しい高校に進学したとしても、難しい内容を解けるようにならないという事なんです。逃げられませんよ?

進学校の場合、応用問題まで手を出すというだけの差です。高校が違うからといって、数学の公式が変わるわけではないですもんね。

高校は同レベル帯の生徒の集まりだから

みんなで歩いているとき、靴紐がほどけました。その場でしゃがみ込んで紐を結び直していると、周りの友だちはどんどん先に歩いてしまいます。

靴紐程度なら「ちょっと待って~」で友だちも待ってくれますが、勉強はシビアです。「ちょっと待って~」は通用しません。紐を結び直している間に「知ったことか」とズンズン前に進んでいってしまいます。そこで立ち止まってくれる=勉強しないでいてくれるような友人は存在しません。

ちょっと立ち止まるだけで、周りのペースに置いていかれます。

これは高校が同じ学力を持った子の集まりだからです。中学まではちょっと置いて行かれても、ゆっくり進んでいる子がいます。学力がバラバラですからね。高校は、遅れた子からどんどん取り残されていくシステムです。置いて行かれたら最後、後ろには同じように置いて行かれた子しかいません。

そして、追いつくにはダッシュするしかありません。何しろみんな同じペースで歩くわけですから、走らない限り追いつけません。

毎日2時間勉強していたなら3時間に増やせば良いのですが、簡単ではありません。なぜなら、その子は「毎日2時間勉強する能力」しか無いからです。3時間勉強し続けるための精神力、耐久力、向上心、これらを持ち合わせていません。

自分の能力を超えた努力が必要ですから、相当苦痛を伴います。何かを犠牲にして、その代わりに勉強量を増やすことになります。それを一過性のものではなく、自らの習慣にして初めて成績が向上し始めるのです。

T君も部活動を犠牲にし、2年間勉強に励みましたが、結局受験ギリギリになってようやく入学当初のレベルに戻しただけで終わりました。後悔先に立たず、最初から正しいペースで学習さえしていれば、穴を掘って埋めるだけみたいな無駄な事をしなくて済んだのですが……。

部活動にハマった

T君は入学する前から、とある部活に入りたかったのです。一緒に高校へ進む友人とも約束し、晴れて希望の部活に入部しました。

中学の部活と違い、積極的に活動をしたT君。個人での練習も欠かせない部活のため、自宅にいるときも一生懸命練習しました。誤解の無いように補足をしておくと、T君は家で勉強をしていなかった訳ではありません。毎日1~2時間は欠かさず机に向かっていました。

高校によって必要な学習時間は異なります。T君の高校の場合、毎日2~3時間は勉強しないとついて行くことが出来ません。T君の勉強ペースでは足りなかったのです。

よりによってT君は部活動を超えて、学校外でも活動を始めてしまいました。こうなると定期テストだから活動しない、という訳にはいきません。テスト勉強の時間が大幅に削られた結果、急速に順位が下がっていきました。

T君は勉強をしていなかった訳ではありませんが、現代の高校生の実情は酷いようです。

2016年の調査(ベネッセ調べ)によると、高校生の1日の学習時間平均は84.4分だそうです。一方、小学生は95.8分ですから、高校生の勉強時間は小学生以下、ということになります。これは恥ずかしい。

受験生も含めてのデータでこれですから、高1生や高2生の実態は推して知るべし、というところでしょう。

T君のように部活動が忙しくて勉強時間が削られているならまあ健全な方でしょうが、最近とみに増えているのはバイトとSNSです。1日にスマートフォンを操作している時間のデータも見たことがありますが、保護者の方はぜひ調べて見た方が良いと思います。「いつ勉強するの?」というくらいゾっとするレベルですよ。

スマホは論外として、部活動は決して悪ではありません。何か1つのことに打ち込むのは大変素晴らしい事です。部活動のために高校を選ぶ、という人がいるのも個人の自由、多様性です。

しかし、大学に行くことを本意として高校へ行ったなら話は別。部活動にハマりすぎて勉強がおろそかになる、というのは間違っています。つらい勉強そっちのけで好き放題過ごしておいて、大学は浪人して合格すれば良い、というのは保護者からしたらたまったものではありません。浪人して予備校に通えば、私立大学1年分の学費以上のお金が必要ですしね。

進学を希望しているなら、部活動と両立をして一人前です。疲れても眠くても必要な勉強量は確保する、という強い意志を持って臨みましょう。

そういう意味では、T君は部活に傾倒しすぎて両立できていませんから、半人前です。そして、半人前と自覚したからこそ、部活動を諦めて勉強に集中することになりました。

勉強方法が分からなかった

そろそろT君が哀れになってきましたが、彼の問題点は「問題を解く」以外の勉強法が身についていなかったことにあります。

中学校までは、ひたすらワークを解いていれば内容は勝手に覚えられました。中学生に言うと怒られそうですが、暗記する量もたかが知れています。集中して暗記の作業などしなくても、大量の問題演習で何とかなってしまうのです。

高校では、問題そのものが無い科目が多くなります。英文法・数学・理科は必ず学校から問題集をもらえますが、それ以外の科目は問題集がありません。市販のものを買えば良いのですが、学校の先生の授業にリンクしているわけではありません。

問題集の無い科目は「授業プリント」が勉強の核になります。実はほとんどの高校において、授業中に書き込んだプリントをしっかりインプットするだけで高得点が取れます。ある意味単純な勉強方法です。

ところが、この「授業プリント」の勉強法が身についていないと、どう扱って良いものか分かりません。血迷ってノートにまとめ直したりすると時間が足りなくなりますし、ただ眺めているだけで覚えられるはずがありません。

高校の勉強では、このような大量の暗記をこなすテクニックが必須です。暗記方法は人によって様々。書いて覚えるのも、読み込んで覚えるのも、隠して覚えるのも人それぞれです。方法は何でも構いません。暗記しないと得点は取れません。

そのため、問題演習頼みで突っ走ってきたT君のようなスタイルの子は、どうしても理系に流れることが多くなります。理系科目なら問題集があるから勉強しやすいのですね。とはいえ、理系に進んでも英語からは逃げられないので、暗記方法を確立させることは必須です。

そして、ほとんどの高校の先生は、暗記のやり方など教えてくれません。どのように勉強したらよいかを指示してくれる先生に当たったら、それはそれはとても幸運な事だったといえます。まあ、滅多にないと思います。

特に公立高校の場合は絶望的です。

T君は幸運な事に、英語の予習の仕方を教えてくれる先生に当たりました。ただし、その先生は高2のときの担当なので、時既に遅し、なのですが。その先生の言うとおりに予習をしていくことで少しずつ授業の内容が理解出来るようになり、同時にいかに自分の英語力が低いのかを自覚できたのです。

今も昔も成功する秘訣は変わらない

T君が高校生だったのは一昔前の話、現代の高校生にはあてはまらない事もあります。むしろ、現代の方が高校生にとって勉強に打ち込みづらい環境ではないでしょうか。その筆頭がスマートフォンです。ウチの高校生の感心なところは、塾でスマートフォンを出さないこと。勉強する時間、とケジメをつけて我慢をしている姿勢は、当たり前に出来る事ではありません。もはや現代では立派な部類です。

成績が急降下したT君の失敗点は、必要な勉強より自分のやりたいことを優先したこと。高校で成功するには、彼の失敗とは逆に必要な勉強を優先するだけです。

内容が難しくなる高校の勉強に対して、充分な勉強時間を確保し、自分なりの暗記方法をいち早く身につけ、周囲をリードしていくことです。その上で空いた時間を伸び伸び使えば、楽しい高校生活が約束されます。

高校生ともなると、やりたいことは千差万別、多岐にわたります。それらは勉強より魅力的でしょう。全てやりたい放題やっていたら、取り返しのつかないツケが待っています。進学を目指して高校に入ったなら、本分は勉強です。そのことさえ忘れなければ、T君のように成績が急降下する事はないのです。

高校は自分と同レベルの生徒の集まりです。少しの遅れが致命的になるのは間違いありません。それはすなわち少しのリードを積み重ねれば、どんどん差を広げることも出来るということです。高1の始めから、必要な勉強時間・勉強量を確保し続けることが出来れば、必ずや学年上位に上り詰めることが出来るでしょう。

それは、ウチの生徒たちが証明してくれています。そして、彼らに正しい勉強の仕方を指導できるのも、T君の失敗を繰り返さないようにしているからです。

これから高校生になる人は、ぜひ頭にとどめておいて欲しいと思います。そして、T君のように転落してしまったら、少しでも早く生活を根底から変えましょう。手遅れになる前に。

ま、そんなT君でも心を入れ替えて頑張れば、塾の先生になれちゃったりするんですけどね。

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