現役生がハマりやすいセンター利用入試の落とし穴

今はネットで受験日程・科目・偏差値を簡単に調べることができます。ただし、情報は読み取り方によってとんでもない誤解をはらむ危険があるのです。

その中でも分かりやすいようでわかりにくいのが、センター利用入試です。
センター試験の得点を使って私立大学を受験することができる、大変気楽なシステムです。
国立を受験する生徒ならどのみちセンター試験は必須ですので、何も気にする必要はありません。

問題は、本来センター試験を受験する必要がない私立大学志望の生徒です。
センター試験についてよく知らずに受けると、足下をすくわれます。

よく現役生が誤解しているセンター利用入試の落とし穴を解説しておきましょう。
いよいよ今年度でセンター試験が終了するため、センター利用入試も最後になります。

1.本命はセンター利用入試では受からない

受験生最大の誤解はこれです。
本命となる大学をセンター利用入試で受けるのは無謀です。
センター利用入試の実質的な目的は、

「受験に行かず滑り止めを確保する」

ことにあります。あくまで滑り止め用と認識しておく方が良いでしょう。

なぜ本命はセンターで受からないのでしょうか?

理由は単純。
それは、センター利用入試で合格する受験生はだいたい1~2ランク程度上位大学を受ける学力を持っているからです。
そういう受験生が合格をかっさらっていってしまうため、本来その大学を本命とするレベル層では手も足も出ません。

例えば、大学受験の定番校であるGMARCH。
上位有名大学として非常に人気が高い6校ですが、実際にセンター利用入試で合格するのは、早慶上理を本命とする受験生たちです。
彼らにしてみれば、出来れば本命ではない滑り止めのGMARCHには足を運びたくないはず。
GMARCHの受験日程は2月10~15日前後に集中することが多く、それは本命校の最終追い込みの時期にあたります。
少しでも負担を減らせれば、コンディションを整える意味でも上手く作用します。

GMARCHを本命としている受験生層にとっては目の上のたんこぶですよね。
幸いなことに、センター利用入試でサクサク合格をゲットしていく連中は、既に受かっているので一般入試に回ってきません。
本来競うべき相手に絞られた上で、いざ本番となるわけです。

ちなみに、もしセンター利用入試で本命が受かったすれば、それは目標が低すぎたと考えて良いでしょう。
もう1ランク上の学校を一般入試で突破する力が十分にあるという証です。
何が何でも上の大学へ行けというワケではありませんけど、ちょっともったいない感はあります。

2.センター利用入試で必要な科目が分かりづらい

科目情報の読み方をよく分からないまま受験情報誌や情報サイトを見ると、「こんなにたくさんの科目を受けるのか」と勘違いをします。
また、細かい注釈を読み込まないと思わぬ誤解が生じます。

例えば、国語の扱い。

一口に国語と言っても、「現代文」「古文」「漢文」の3つに分かれており、それぞれ100点、50点、50点と持ち点が分かれています。トータル200点です。

もちろん大学によっては3分野全て解き、200点満点で判定を出すところもあります。
ですが、近年増えてきているのが注釈に「近代以降の分野に限る」のような表現です。
平たく言うと、「現代文だけ受けてね」という意味です。

すなわち、80分間の試験時間中、古文や漢文を無視して全てを現代文にかけても構わない、ということです。
だって現代文しか見ないですからね。
古文や漢文が0点でも問題ありません。

そのことに気づかないまま全部解いてしまったら……最悪ですね。
本来40分前後で解くべき問題を80分間フルに使って良いわけです。
センターの問題の難易度でしたら、満点すら狙えます。

数学なども1A2B全て必要なのか、一部だけ必要なのか、よく調べておきましょう。

もっとも、大学側から見たらシステムを理解していない時点でお断りと言いたくなるでしょう。
調べて分からなければ誰かに聞くなり、手間暇かけて解決しておくのが受験生としてのたしなみです。

3.センター利用入試を基準に科目を決めない

高3の授業選択で入試科目を受講しようとする場合、自ずと決定時期が高2秋ごろになります。
その段階で受験をする大学が固まっていればまだ良いですが、大抵の受験生予備軍はまだおぼろげにしか大学の目標が決まっていません。

その上センター利用入試で何を使うのかがよく分からない(理解できない、という意味)ので、高3の授業選択で余計な科目を取ってしまいがちです。
何を隠そう私自身、高3で受験に必要ない化学を受講してしまい、1年間その授業を適当に受けた経験があります。

※適当に受けたといえば聞こえは良いですが、実際には全く関係ない勉強をしていたり、睡眠時間だったり、音楽鑑賞だったり……おっと。

とりあえず、センター利用入試を度外視して科目を決めて構いません。
センター利用入試で必要な科目は、一般入試より少ないのが普通。
ということは、一般入試の勉強さえしておけば、センター対策に不足はないという事です。

一般入試で必要とされない科目がセンター利用入試で要求されたら、センター利用そのものを断念した方が得策です。
センター利用入試はあくまで滑り止め確保の手段。
高々そのためだけにもう1科目勉強をするのは合格の可能性を自ら下げてしまうだけです。

4.出願数が増えがち=受験料が高騰する

受験生本人は受けるチャンスは多ければ多いほど良いでしょう。
会場に行かなくて良いセンター利用入試は特にお手軽で、何校でもカンタンに出願する事ができます。

そこで問題となるのが受験料です。
受験生本人が受験料の高さを自覚しておらず、保護者もまた入学金や学費に目が行って受験料から意識が薄れるとさあ大変。
子どもの言うとおりに受けさせていたら受験料だけで20万円を超えていた、なんてザラにある話なのです。

前述の話を参考にしてもらえれば、言い方はアレですが望みのうすい大学もある事が分かると思います。
センター試験で自己ベストが取れた!なんて幸せなケースならどんどん受けるのも良いですが、たいてい事前出願なのでそうもいきません。
現実的なラインを見極めて出願した方が良いでしょう。

番外編.理系で数学3がいらないのは危険かも

センター試験の数学は、数1A2Bまでしかありません。
当然センター利用入試もその範囲で合否が出ます。

このカラクリをポジティブに捉えてしまうと、こんなことを考えてしまうかもしれません。

「一般入試で数3が必要だけど、数3は習ってないし……センター利用入試で入ろう!」

現実にあり得る話です。
受験そのものは特に不都合無く終えることができるでしょうし、合格する可能性も十分にあります。
問題は、かなりの確率で留年もしくは退学の憂き目に遭うという事です。

一般入試で数3がある意味を考えなくてはなりません。
すなわち、「大学で数3を使うからね」という大学からのメッセージなのです。
だから、数3は受験で使わずとも履修しておかないとなりません。

実例を紹介しましょう。私の大学は内部進学率が高いところで、高校での履修科目と学部があまり一致しないことが多々ありました。
ある日の微分積分(高校では数3)演習授業中、全く解いていない学生に対して講師の方が注意したところ、その学生は教室中に聞こえる声でこう言いました。

「高校で数3やってないんスよ」

部屋中失笑の嵐です。
私の隣の友人Tくんはハッキリ「アホや」とつぶやいていました。
私の専攻は物理学ですので、数3をやっていない=物理が出来ない=卒業不可能なのです。

講師の先生もこうおっしゃっていました。

「君は通うところを間違えているよ。君は明日から予備校に通うべきだ」

格好良すぎです、先生。

ちなみにその学生、本当に次の週から一切来なくなりました。
でも、あの先生の一言が無ければもっとずるずると在籍していたわけですから、決して悪いことでは無かったと思います。
ていうか進路指導ちゃんとしてやろうよ高校の先生。

これは推薦入試が招いた悲劇の一例ですが、センター利用入試でも同様のことが起こる可能性がある、ということを知っておきましょう。

まとめ

センター試験を1つ受けるだけで複数の大学を受験でき、足を運ばずとも合格できてしまうセンター利用入試。
非常に有用なシステムではありますが、素人さんが理解せず受験しようとすると、困ったことになってしまう可能性を秘めているのも事実。

ぜひ正しい運用をして、効率の良い受験日程を組んでみて下さい。
決してセンター利用入試を軸に考えようとせず、あくまで一般入試を中心に科目を選択し、勉強を進めていくのが最良です。

今年でその役目を終えるセンター試験。
共通試験でありながら時事を反映した一癖あるユニークな問題は嫌いではありません。
文系が1日しか受験しないのに対して理系は2日とも行かなければいかないという不公平さには色々言いたいことはありますが、受験生はぜひ1度経験しておいてほしいものです。

私はいつも受験生にこう言って送り出しています。

「明日は最も本番感覚で受けられる模試だね。頑張っておいで」

全国一斉に行う壮大な模試。その程度の緊張感が丁度良いのです。