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指定校推薦が激戦に?神奈川県西の公立高校大学入試結果を全力で読み解く

サンデー毎日が毎年発表する「大学入試一般入試結果」ですが、大変貴重な情報ソースです。

というのも、ウチの塾がある神奈川の県西部という辺境の地域では、各高校から入試結果の公表が遅いんですよね。

今回は小田原・秦野の大学進学者が多い普通科の学校について分析をしようと思います。小田原・秦野・西湘・足柄・秦野曽屋の5高です。

このうち、小田原と西湘の2校は最新の合格実績を発表しています。秦野・足柄・秦野曽屋の3校は5月中旬の現在、まだ公表されていません。

また、各高校から発表される合格実績は、指定校推薦などの推薦試験の結果も含まれており、純粋に学力勝負である一般入試の結果は不透明です。だから、「お?意外にGMARCH受かってるじゃん!」と思いきや、一般入試はたった3割ということもザラにあります。

一般入試の結果を読み解くことで見えてくるものは沢山あります。今回は、地元神奈川県西部の高校に注目して、大学入試結果からこの地域の受験の流れを考察していきたいと思います。

最近ブログの更新頻度が減っていることもあり、久々に全力で書いていきましょう。

2019年度入試は激戦に

都市圏の私立大学入試は年々激化が進んでおり、もはや私のような30~40代が受けていた時代とは比べものになりません。

同業者では常識となっていますが、現役高校生たちが理解していないので、なぜ競争が厳しくなっているのか、メチャメチャ簡単にまとめてみます。今度詳しく解説もしたいですね。

私立大学入学定員厳格化の影響は大きかった

文科省のお達しにより、各大学が入学定員を厳しく守るようになりました。まあ、100人の定員に150人学生が入学してきたら、まともな教育や研究などできませんしね。

ご存じの通り、私立大学は定員の3~5倍程度合格者を出します。国公立大学の滑り止めに受けたり、上位の私立大学の滑り止めに受けたりするため、合格者の半数以上は実際に入学しないからです。

下手に合格者数を絞った結果、万が一入学者が少なすぎてしまうと、大学は経営が苦しくなります。これを防ぐため、ちょっと多すぎるくらいの合格者を出すのが普通だったんですよね。例えば、2013年の明治大学は、定員の3.5倍もの合格者を出しています。

ところが、2018年では2.7倍に下がりました。倍率上ではほんのちょっとの差に見えますが、人数で言えば数千人もの差です。要は、今までだったら受かっていたレベルの学生が数千人不合格になるワケです。これは辛い。

日東駒専が激戦になった2019年

2018年はGMARCHが阿鼻叫喚の地獄となりました。今年はその玉突きが起こり、日東駒専のような中堅校で激震が走っています。

これも簡単に説明します。2018年にGMARCHで不合格者が続出しました。2019年の受験生は昨年の様子を見て1つレベルを下げたんですね。こうして日東駒専が人気になった結果、今まで余裕で受かっていた人でも落とされるという意外な結果が続出したのです。

それもこれも文科省の手のひらの上。まさに目論見通りになりました。

ここまでは都市圏全体のお話。では、都市圏というにははばかられるものの、地域的には都市圏をかすめてしまっている我らが神奈川県西部はどうなったのか、これを分析してみましょう。

神奈川県西公立高校の大学一般入試結果

サンデー毎日に掲載された結果より、前述の5校を抽出してみます。

神奈川以外の人からすると、「なんで東海大だけ特別扱い?」と不思議だと思いますが、東海大学のキャンパスはザ・地元。地元の雄として大人気だから別枠で集計してみました。

では順番に見てみましょう。

トップ校はあまり影響なし

巷では「壊滅的」と噂されていた小田原高校の実績。3月の時点では色々な方面からそんな話を耳にしました。

フタを開けてみると、全然そんなことはありませんでしたね。実は、小田原高校のような地域トップ校の受験生には私立の定員厳格化の影響がほとんどないのです。

受ける大学のレベルがトップクラスだからです。例えば私立トップの1角である早稲田の場合、本命で受けている可能性が高い。早稲田を滑り止めにするのは更に上の国立志望の受験生だけです。

大学側も合格者の何割くらいが実際に入学してくるか非常に予想しやすいので、定員厳格化の前からほとんど変更する必要がありません。そこを受ける受験生にも影響が少ないというわけです。要は元々難しいんですよ。

また、小田原高校の生徒が多く滑り止めとして利用するGMARCHですが、定員を厳格化されようが所詮は滑り止め、合格に揺らぎはありません。

2~3番手校は明確にダウン

問題はこのゾーンですね。秦野高校や西湘高校の場合、定員厳格化の影響をモロに受けます。

2~3番手校から受験する生徒の目標は、おおむねGMARCHになります。これらの大学は早慶上理と違い、滑り止めで受ける上位層が大量の合格をかっさらっていきますので、GMARCHを本命とする人たちは残った枠の争奪戦になります。

今までは定員の何倍もの合格者を出していたので、枠もある程度確保されていました。しかし定員厳格化のため、本命で受けている受験生のための枠が大きく減少しているので、競争が激化して合格者数が明確に減ってしまいました

そして、注目は日東駒専です。秦野・西湘ともに全国的に激戦だったこのレベルの実績がむしろ上がっています。これは、今までだったらGMARCHに挑戦していた層が、昨年の惨状を見てスライドしてきたと考えられます。

それを裏付けるのが、西湘高校から東海大学に合格している生徒が激増していることです。東海大学はちょうど日東駒専の滑り止めとして機能します。もちろん東海大学を本命とする受験生も多かったのでしょうが、滑り止めとして沢山の生徒が受験し、大量の合格者を出したのだと思われます。もちろん推測でしかありませんけどね。

それ以下はかなり苦戦

足柄・秦野曽屋はほぼ同じ偏差値の高校ですが、未だ最新の合格実績を発表していないのも頷けます。

正直言って、一般入試はごくわずかな上位層のみしか勝負になっていないのが実情です。もちろん合格者数はのべ人数ですので、一人でいくつも合格を勝ち取っているのが当たり前。そう考えると、高校内でGMARCHに合格するのはほんの3~4人でしょう。学年トップしか勝負できないのが現実なのです。

そして、従来レベル的にも立地的にも人気だった東海大の合格者もかなり減っています。今までなら実力で東海大を勝ち取れたのでしょうが、これまた上位からの玉突きが起こり、2~3番手校の受験生が大量に合格を持って行ってしまうので、とても少ない枠の争いを行わざるをえない状況を表しています。

神奈川県西部の公立高校に与える影響

さて、2020年度入試はどのようになるでしょうか。これまた神奈川県西部に注目して予想してみます。

安全志向が強まる

近年安全志向が高まってます。進路決定が3月までずれ込む国公立を避けて、私立一本に絞る人も沢山います。

小田原高校で言えば国公立より早慶上理、秦野ならMARCH、西湘なら日東駒専、足柄や秦野曽屋なら東海や神奈川大など、1ランク下げた大学が主なターゲットになりつつあります。

その傾向は来春の2020年入試でピークになります。断言しても良いですよ。かつて無いほど安全志向が極端に高まるのは確実です。

理由の1つは、先ほどから繰り返し書いている「定員の厳格化」です。しかし、これ以上厳格化しようが無いため、2019年で頭打ちと考えて良いでしょう。

もう1つの理由、かつ最大の理由は、2020年入試でセンター試験が最後になってしまうからです。翌年度から入試制度が一新されてしまうため、浪人生はかなりつらい戦いを強いられます。

学習指導要領も今後変更になるので、浪人生は習っていない内容が出題されることも考えられます。圧倒的に不利です。

つまり、多少レベルを下げてでも現役で大学に入っておきたい、と考える受験生がかなりの割合を占めるというワケです。その結果、上位大学よりも、日東駒専のような中堅大学が更に熾烈な競争になると予想されます。

指定校推薦の利用が盛んになる

レベルを下げたとはいえ、入試は水物、100%ではありません。

その点、指定校推薦制度は校内での選考さえ通過すればほぼほぼ100%と言って差し支えありませんので、人気は高まるでしょうね。

特に、西湘高校や足柄高校のような「学校側が指定校推薦制度に否定的ではない高校」の場合、指定校推薦制度の利用率はハネ上がると思います。

一方で、中堅進学校の中には指定校推薦に否定的で一般入試を激オシする高校もあります。ウチの生徒が実際にある高校でそのような進路指導をされましたが、先生からは一言も私学の定員厳格化のお話は出てこず。そりゃそうですね、生徒がビビっちゃいますから。

ガチンコで学力勝負をしたら、上位進学校の生徒に適うはずがありません。中堅校の生徒の頑張りを更に上回るのが上位校の生徒ですから、高校入試時点の差はさらに広がっています。

今は何らかの推薦が定員の半数を占めている時代です。推薦制度はある意味中堅校を救済する役割を担っているので、上位進学校以外の受験生は素直に利用するのが得策だと思います。これからより盛んになることでしょう。

指定校推薦のボーダーが上昇

指定校推薦の希望者が増えるということは、校内での争いが激化することに他なりません。指定校推薦を取るのに必要な評定平均の値は程度の差はあれど上昇していくと思われます。

今まで評定平均4.0で推薦が取れていたところ、4.2や4.3は無いと通過できない自体になることも十分予想できます。

例えば、西湘高校で評定平均4.7や4.8くらいの持ち点がある生徒は、今までならGMARCHを一般受験していたでしょう。指定校推薦を使う層は4.5前後あたりが上位層になっていました。

この一般受験組からかなりの数、指定校推薦に流れてきます。既に今年そのような動きがあるのを察知しました。基本的に評定平均の高い生徒にはどうあがいても勝ち目がありませんので、やむなく他の大学枠へ流れる。これが連鎖的に下位へと続いていきます。

今後、4.0程度ではかなり選択肢が狭まってきますし、人気校はまず無理でしょうね。いわゆる有名な大学の合格を手に入れたいならば、やはりオール9相当の4.5が欲しいところです。

高校生の通塾率が上昇

一般入試全盛の時代では、高校生=予備校という図式でした。または特定の学科や大学に専門の小規模塾なども人気でしたね。

センター試験に代わって導入される予定の新試験は、専門的な科目の知識のみならず、科目を超えた高度な思考力が要求されるものになります。受験生は、より高いハードルに感じるでしょうし、事実難易度は高いと思います。

指定校推薦なり一般推薦なり、いわゆる推薦系の試験を利用する流れが加速すれば、学校の成績が今以上に重要視されます。

現状高校生の通塾率は低めです。では自分で計画的に勉強が進められているかと言えば、決して褒められたものではない高校生が大半です。授業中に寝ている生徒も中学より増えますが、中学校より高度な内容を学習している自覚がなさすぎて、ナメているとしか思えません。

特に西湘高校や足柄高校のような中堅校の場合、在籍している生徒の層に比べて学習している内容が難しいので、脱落する層がかなりいます。塾のサポートによって苦手な科目が無くなるだけでも周りをリードしてしまいますからね。

そんなわけで、現在学校の成績を伸ばすための塾に通っている高校生は、ほぼライバル不在なので勝ち確な面があります。ウチの生徒くらい勉強すればそりゃ上位になるわ、と指導していて常々思っています。

もしかすると、この先高校生の塾へ通う人数が増えていくかもしれません。より学校の勉強を重視して努力を惜しまない生徒が増えれば、教えている高校の先生方もモチベーションが上がるでしょうし、悪い流れではありませんね。

まとめ

一般入試が厳しくなったことで、指定校推薦へと生徒が流れ、結果的に指定校推薦のレベルが上がるのは十分予想できます。

それが進むと、一般入試を希望する生徒が減ることで、ある程度難易度は落ち着いてくるでしょう。この先も右肩上がりで厳しさが増していくとは思えず、もう少し緩いところで収まるのでは無いでしょうか。

これも知らない方がいると思いますが、定員の厳格化は都市圏だけの問題です。反対に、地方大学は定員に満たない大学もたくさんあります。このような大学へ受験生が分散するように促した施策ということで、おおむね狙い通りなんですね。

そんな都市圏の隅っこに引っかかってしまったここ神奈川県西部地域は、本当の都市圏である東京・横浜と比較すれば平均的な学力が劣ります。一般受験では住んでいる地域など無関係のガチンコ勝負ですから、苦戦を強いられるのもやむなしというところ。

そういった状況を把握した上で、適切な受験方法を選び、全力で取り組みましょう。

この記事では定員厳格化についてザックリとしか触れていませんが、またの機会にそこも掘り下げてみたいと思います。まあ、受験生本人が知らなくても良いことですが、保護者の方は時代の動きを知る意味でも、また自分の認識を改める意味でも、納得しておいた方が良いと思います。

ということで、久々に全力で書いてみた受験系記事でした。ここまで読んで頂いた方、お疲れ様でした。