塾のテキストの解答を生徒に渡す理由について熱弁してみた

先日とある中1生が、「宿題の答え合わせをやっていないから、やってから出します」と私に申告してきました。

正直その時点でアウトです。ウチの塾では、数学の宿題は解き直しまでしてくるルールなのですが、答え合わせをしなければ解き直しも出来るはずありませんし、一体いつ解いたのか分かりませんが、すぐに答え合わせをしていないので解いたときの記憶は無くなってしまい、なぜ間違えたのか自分でもよく分からないまま、言われたからという理由で解き直しを機械的にやるしかないので、結果的に宿題はタダの作業に成り下がってしまいます。

ふう、少し落ち着きましょう。

そこは中1生なので、ある意味大目に見ているのは否めません。もちろん指示通りやっていないので説教はします。中途半端な作業は全部最後までやらせます。ただ、本質的には次回同じ過ちを繰り返さないよう気をつけてくれればOKなんです。

中1生ですからね、いきなりいっぺんに何でもかんでも言うとおりにこなせるなんて露ほども思っていません。

実際彼らには、「一応信用してるからね、10%くらい」と言いました。ほとんど信用していません笑。中3生になるとこれが50%くらいに増えていきます。ま、これから1つずつ身につけてもらいますからね。

さて、これで終われば良いのですが、その生徒、少しノートをペラペラめくってからこう言います。

「宿題の場所を間違えてしまい、終わっていないところがありました」

と、違う場所がやってあるノートをチラッと見せながら。

もう誰でも分かると思いますが、全部嘘です。宿題の場所を間違えたのではなく、宿題の答え合わせをやっていないのではなく、ただ忘れただけ。私にこんな嘘をつくということは、今までこんな稚拙な言い訳が通用してきたってことなんですかね……ちなみにチラッと見せた違う場所の宿題は前回の宿題の場所。これにダマされる大人がいるのかというレベル。

ただ1つだけ、宿題を写してこなかった事だけは評価したい。というのも、ウチの塾ではテキストの答えを渡してあるので、余裕で写せるからです。

ということで、ここまで長ーい前ふりが続きましたが、本題に入ります。

生徒にテキストの答えを渡す理由

なんか学習塾業界では喧々諤々賛否両論飛び交う非常にセンシティブなテーマらしいですよ。Twitterでつぶやこうものなら四方八方から石が飛んでくるらしいです、知らんけど。

かつてはテキストの答えを渡していませんでした。しかし、塾全体のレベルアップを図るために数年前から渡すように変更しました。そこには2つの狙いがあるからです。

解き直しをさせるため

宿題をやるのはいいですが、それが合っているのかどうか分からないまま次の塾までの1週間を過ごす。塾に来てから解答を渡されて丸つけをする。間違えた問題の解説を読み込むヒマもなく答えを回収されてしまうのでとりあえず答えを赤ペンで写す。解き直すのは本人の自由。また次の宿題が出るのでそんなヒマは無い。結果、間違えた問題は闇の中。

私は自分の子をこんな塾には絶対に行かせません。だって、どう考えても無意味でしょう?

まず採点をする。間違えた問題を理解し直す。解き直して再び採点をする。これを出来るまで繰り返す。このためにはどうしても答えが欠かせません。

授業中に宿題の答え合わせをしていたときは、授業時間のロスも深刻でした。そんな作業のために授業料を頂いているワケでは無いですからね。同じ時間を演習に充てたり詳しい解説や別解を紹介した方が建設的です。

自学に利用するため

ウチの教室では明日達成度確認テストがあるんですが、そのために問題集を解き直したいと燃えている生徒も少なくありません。

塾で解答を預かっていると、それが難しいんですよね。答えの分からない問題を演習するのは時間のムダ。ましてや解き貯めてから塾で答え合わせをしたら、その復習をするヒマもなくテスト本番を迎えてしまいます。

ただでさえ中学生が「よし!勉強しよう!」なんて思うのはレアケースですしね。勉強したいときにササッと始めなければ、せっかくついたか細い火もすぐに消えてしまいます。

でもテキストの答えを渡すのは危険

そうは言っても、宿題写し放題なのは事実です。宿題への取り組みの意義をきちんと理解し、自分にとって何が得になるのか分かっていなければ、宿題を写す行為は無くなりません。

そんな自制心を小学生には期待していませんので、私は小学生には解答を渡していません。

とはいえ、宿題の解き直しをしないのはあり得ませんので、授業時間を使って解き直しをしています。今回のようにテストの勉強をしたい生徒にはそのときだけ私の判断で解答を持ち帰ってもらっています。

中学生だって本質は同じ。普通の生徒なら誘惑に勝てないでしょうね。

テキストの答えを渡す代わりにやっていること

解答を渡すのは、宿題を写してしまうリスクと背中合わせです。それをマンパワーとシステムの両面から防ごうという取り組みをしています。

全員分ノートチェックをする

中学生は解答を渡す代わりに、宿題ノートを回収して全員分チェックをしています。

チェック項目はこんな感じです。

宿題のチェック項目
  • 指示したとおりのレイアウトで書いているか
  • 実施した日時を書いてあるか
  • やってある範囲を間違えていないか
  • 授業通りのやり方でやっているか
  • 途中式を書いてあるか
  • 答えを写していないか
  • 丸つけをしてあるか
  • 丸つけは間違っていないか
  • 解き直しをしているか
  • 解説を写していないか

とりあえず、この項目を一通りチェックします。得に赤字の2つは重視しますね。

中1生はまだ始めたばかりなので、この項目について多少甘めです。毎回1つずつ厳しくなっていくイメージ。

中2生以上はさすがに見られるのを前提でやっていますので、露骨にズルをするようなことはありません。ただ、少しでも手を抜いて解説を写したりすると、すぐに自力で解いたのでは無い事がバレますので、キツいコメントとともに返却されます。

場合によっては全てやり直しになることも。

でも、それが当たり前だと思うんですよね。

私はお互いアリバイになるのが大嫌いです。

先生は宿題を出すことが目的、生徒は宿題を終わらせることが目的、先生は宿題をチェックしたというアリバイをつくり、生徒は先生にチェックしてもらったというアリバイを作る。

こんなもの塾の提供するサービスではありません。手抜きにもほどがある。

もちろんノートチェックは多大な労力がかかります。しかも4月は一番手がかかる時期ですので、1人分をチェックするのに10分以上はかかります。

ですが、手をかけた分だけ彼らの当たり前レベルは育ちます。中堅~下位の層にとって、宿題をごまかさずにやり遂げるのはとても大変なことで、全然当たり前の事ではありません。まずはそのレベルを引き上げてあげる事が学力アップへの遠いようで近道だと思っています。

宿題の定着度をチェックテストで測る

宿題がちゃんと出来ていたかは、チェックテストを毎週実施することで分かります。チェックテストで結果を出していれば、宿題は最小限で充分。逆に、チェックテストで結果を出せなければ宿題をやる量や宿題の密度が不足している証です。

さて、こんなことを言ってしまったら波風が立つと思いますが、私の本音では宿題なんかやる必要ないと思っていますし、事実小学生のときはほとんどやっていませんでした。

その代わり、テストが出来れば文句あるまい、というのが当時の私の言い分です。

私は宿題をやりたくないがために小学校時代から超真剣に授業を聞いていました。動機は決して褒められたものではありませんが。

念のため自己フォローしておくと、家で勉強をしてなかったわけではなく、自分の好きなプランで勉強をしたかっただけです。本屋さんで買った問題集は楽しくやっていましたし。

ただ、十把一絡げで出される宿題が嫌いだった、というだけ。

今はさすがに宿題をやらなくて良いとは思いませんが、それでも結果を出せば宿題は最低限で良いという考えは変わりません。言い換えれば、結果を出すためにはタップリと宿題をやらなけければならない人もいる、ということ。

私や相方のH先生がよく宿題チェックノートに書くコメント、それは「チェックテスト、期待していますね」というもの。

このコメントは、宿題が私たちの期待値以上に出来ている場合に書きます。もちろん宿題が全て正解であるにこしたことはないのですが、彼らの能力は熟知していますから、不自然に正解が多いのが気になることもあるのです。

ま、だいたいこのコメントがついた生徒のチェックテストの出来は推して知るべし、なんですけどね。こういう子たちには、次に同じ過ちを繰り返さないよう粘り強く指導をしていくのです。

まとめ

テキストの答えを渡すメリットは全面的に活用しつつ、デメリットであるズルを泥臭く潰していく。正直こんなアホみたいに手がかかることを出来るのは、生徒数が少ない小規模塾だけでしょうね。

決して1クラスに20名の生徒を抱える大手塾にはマネ出来ません。いや、出来なくは無いでしょうが、ブラック労働一直線です(じゃあ我々は?/笑)

今の中2生の数学は、中1のときからこのシステムでネチネチと細かい指導をしてきました。おかげさまで先日の模試では教室平均偏差値が60弱まで伸びてきました。まだまだ国語の偏差値が低いのがネックですので、そこも連休明けから手を打ちます。

対して中1生の宿題は散々。もはや指摘の入らない問題の方が少ないレベルです。それこそ一人のノートに軽く20分はかかります(全問答え合わせをチェックしているので)。

その積み重ねで彼らの能力が伸びていくなら、私は鬼になって目を光らせましょう。

でも、連休明けくらいから徐々に改善していってくれないかなあ。チェックが楽になって欲しいですからね。

ということで、宿題への取り組みについて紹介がてらサラッと書くつもりが、結経いつもの調子に。ここまでおつきあい下さった螢田通信マニアの方、お疲れ様でした。良いGWを。