ブログで勝手に全国入試もくもく会!兵庫県理科を解いてみた

きっかけは私がリスペクトしているとある塾の先生のツイートでした。

Twitterで見つけたあるハッシュタグ

#全国入試もくもく会

なんでも、高校入試最強の対策教材である「全国高校入試問題正解」をもくもくと解き、その感想や自県の対策に役立ちそうなポイントをシェアするという取り組みです。もくもく会という名前に反して大々的にツイートしているあたりのジレンマが素敵。

塾講師ならば全国入試問題を解くのは当たり前。それこそ今までは個人で入試研究をもくもくとやっていたものを、SNSを通じて共有するという画期的な取り組みです。そして、そんな高尚な目的意識とは全く関係なく、ツイートしている先生たちがえらく楽しそうなんですよね。

いやあ、分かります。きっと生徒からしてみたら何が楽しいのかサッパリ分からないでしょうが、入試問題を研究して自塾の生徒の糧になりそうな問題を発掘するのはひたすら喜びです。この1問で生徒の実力を上げることが出来るかも知れない……そう考えるとワクワクするに決まっているじゃないですか!

ちなみに私が今年自分で購入したのは3冊。2019年版の「数学」「理科」そして「分野別理科」です。分野別理科は最新の問題ではありませんが、とても授業で使いやすいので購入しました。

会社から1人1冊ずつ支給されたらそれはそれは嬉しいのですが、さすがにそんな太っ腹ではありませんでしたので、いつからか自分で買うようになりました。非常に分厚く持ち運びには適していないので、Amazonから電子書籍版が出てくれることを期待して早数年。絶対使いやすいと思うんですけどね。安易にコピー機で複製もできませんしね。

閑話休題。

塾講師たるもの、そんな楽しそうな会の存在を知ってしまったら参加しないわけにはいきません。ですが、私は残念ながら参加できないのです。

もくもく会に参加できない理由

それは2つあります。

1つは、私の文才ではTwitterの140文字制限内で表現することが出来ないからです。

これも小中学生には分かってもらえないんでしょうけど、文章って長く書く方が楽なんですよ。原稿用紙1枚で自分の意見をまとめろ!とか言われたらそれこそ数時間格闘すると思いますが、原稿用紙10枚使って良いよと言われたら2時間以内に完了です。とりあえず、最初と最後で言っていることに齟齬が無ければ文章なんて問題ありませんからね(暴論)。

事実、ここまで完全に前ふりなのにもう1000字も書いちゃったし!基本的に短くまとめる能力が欠けているのです。スリムに要点をまとめられる人ってとても頭が良いと思います。

そしてもう1つの理由。私、根本的にTwitterやってません

Twitterが無いからブログでやってみた

本題です。ハッシュタグは付けられないので誰の目にも触れませんが、自分のブログなら好き放題書けるじゃん!ということで、ブログ上で#全国入試もくもく会を勝手にやってみたいと思います。

いつも生徒に驚かれますが、私は理科専門です。得意な順に理科>音楽>家庭科>現代文>数学でしたし、数学が基本的に好きじゃないのでブログを書く気がしません。理科なら筆が乗りますので、個人的に気になった都道府県だけ記事にしていこうと思います。

2018年度兵庫県理科

(何回やるか分かりませんが)第1回目は毎年素敵な問題勢揃いの兵庫県からスタートしたいと思います。あえて地元神奈川からいかないスタイル。というか、神奈川は多分やりません。

全体の感想

全国屈指の高難度を誇る

神奈川県の理科は平均点も低く、全国的にも難しいという評価を受けていますが、兵庫県の難易度はそれと比較しても頭1つ抜けています。

神奈川県の問題が難しく感じられる理由は2つあり、1つはリード文の長さ。一問一答レベルですらリード文がムダに長いのが特徴です。もう1つは原理を用いた思考が要求される点。それもことあるごとに原理が必要となるので大変です。

兵庫県の問題は、大問1の一問一答問題のリード文は比較的短めで、スムーズに解答できるものです。ところが大問2~5にかけて、ひたすら実験→問題の流れが続きます。もっとも、理科の入試問題ってそんなもんだと言ってしまえばそれまでなんですが、実験の数がまた多いこと多いこと。中にはほとんどの受験生が初見の実験もあったりして、難易度に拍車をかけています。

その高難易度を示すのが平均点です。驚異の36.1点。ひっく!

難しいと言われて久しい神奈川ですら45.3点です。ただ、これは合格者平均点、つまりそれぞれの高校で出来が良かった子たちの集計ですので、実際の平均点は40点付近になるでしょうけど。それにしても兵庫県、低すぎ。

問題数が多すぎ

難易度以前にそもそも分量が多く、私が実際に解いても40分かかりました。確かに久々の入試レベル問題の演習だったので頭は相当鈍っていましたが、それを加味しても30分は切れません。実際に中3生が受けた場合、まず終わらないでしょう。

その問題数、実に44問。50分間で44問はシビアすぎる……。

そのうちいわゆる一問一答レベルの問題はたったの10問でした。あとは実験や観察を元にした思考を試される問題ばかり。こんなの終わるわけありませんよ。

計算問題の割合が大きい

何らかの計算を行って解答を求める問題は、実に44問中20問以上。約半数が計算問題という事になります。

もちろん公式1発の簡単な問題もありますが、それは数問だけ。大半の問題が「公式を使わない計算問題」です。

巷に出回っている入試問題集の弱点は、計算問題の練習が不足しがち。「公式を使う計算問題」は編集しやすいため掲載されていますが、兵庫や神奈川のようなレベルの高い問題だとあまり出題されません。

肝心の「公式を使わない計算問題」は、原理原則を理解した上で計算方法を考える必要があります。別解も多く、収録しても面倒そうに見えるだけで、受験生が解きやすそうな入試問題集にはなりません。つまり、売れないのであまり収録されないのでしょうね。

兵庫県はこれだけ計算が大量に出題されているのですから、教材会社から計算重視の入試対策問題集が出てるんですかね。出てないんでしょうね、平均点がこれだけ低いんですから。

おすすめの問題

問2 2. 呼吸と光合成

中1理科で学習する呼吸と光合成ですが、定期テストのヌルさと入試レベルの差が最もハッキリ出る分野です。神奈川県でもよく呼吸と光合成の問題が出題されますが、それと似通ったものを感じます。

知識もさることながら、かなり高い考察の力が必要です。二酸化炭素が減っていくと「光合成しているんだな」と簡単に判断できますが、二酸化炭素が減らなくなった場合、勉強が甘い中学生だと短絡的に「光合成していないんだな」と判断してしまいます。これが大きな落とし穴です。(2)はそういった薄い知識にとどまっている受験生を試す問題です。

この問題のハイライトは(3)。言ってしまえばタダの割合の問題なのですが、だからこそ「公式に頼る人たち」には手も足も出なくなるんですね。二酸化炭素の排出量に公式などありませんし、教科書を見てもやり方は載っていません。ですが、呼吸と光合成に関する知識がキチンとあればやり方はおのずと見えてきます。

市販の問題集はもちろん、県トレやEXCEEDなどの塾専用入試教材でもほとんどカットされてしまう(需要が無いんでしょうね)ので、ぜひ全国入試問題で触れておきたい問題です。

そして、グラフを選ぶだけの(4)も一見簡単そうですが、グラフを選んだ理由を正確に説明するのは難しいでしょう。ぶっちゃけ、他の塾の先生がどのような解説をするのかいっぺん聞いてみたいところです。

問3 2. 化学変化と物質の質量・定比例の法則

これでもかというほど計算責めが続く問題。受験生の心をバッキバキに折りに来ます。これが問3に配置されているのが平均点低下の主原因でしょう。最後の問5に想定以上の時間が必要になるため、問3で時間を消費してしまうとあとがツラくなります。

しかし、計算そのものは典型的な定比例の法則を使っていくだけで、特殊な問題ではありません。基礎的な問題で計算力を付けたあと、レベルを上げるため取り組むのに最適な難易度です。まあ、受験生が解くとムチャクチャ時間がかかりそうですけど。

神奈川県の計算問題は考え方がやや難しいものの、数字そのものは計算しやすく設定されています。兵庫県の数値設定は鬼すぎて、割り切れる数字を出す気など毛頭ありません。360÷7を計算させるとか、受験生が不安で一杯になってしまうでしょうね。選択問題なのが救いですが、勘で当たるほど甘くは無いですね。

問4 2.(3) オームの法則と回路

電気の問題はただでさえ難しいので、取り立ててアレコレ言わなくても良いでしょう。その中でも2.(3)は良問です。回路の性質を理解していれば(not 覚えていれば)、暗算で答えが出る問題です。

神奈川県で数年間流行している合成抵抗の問題も同じ傾向の問題です。まともに計算しようとすると果てしない手間がかかるものの、回路の性質に着目できればごく最小限の計算だけで答えを出せます。独学では難しいでしょうが、指導側が適切に別解を提示してやると視点が変わってくると思います。

問5 天体

実際に解いていて最も驚きと興奮を覚えた問題です。問4までの計算ラッシュを超え、あとは天体だけだ~(天体好きなので)とフッと気を緩めたところに鉄槌を下すヘビー級の問題でした。

選択問題なので、答えを出すことは簡単です。その根拠となると、かなり深く考察をしないとたどり着けません。まして、中3で最後に習うことが多い分野なので、大多数の受験生は手も足も出ないでしょう。うかつに手を出すと絶望しますので、上位校を受験する生徒以外は見なかったことにしておくのが無難です。

言い換えれば、上位層には手応え充分の問題だと思います。どれだけ叩いても壊れないサンドバッグのごとく、何度解いても価値のある問題です。丈夫すぎて叩いた手が壊れそうな問題でもありますけど……

天体ファンとしてはニヤリとする設定で、リゲルはベテルギウスとセットで有名ですが、どこの受験生がカペラなんか知ってんの?と心配になります。実際に解くと別に何の星でも関係ないのですが、どこぞの東京都の天体問題と異なり、現実に即した設定にこだわりを感じます。

おっと、脇道にそれてしまいました。

一般的に出題される日の出や南中の時刻とは異なり、地球の自転と経度を絡めてくるところが素晴らしい。しかも経度が1度刻みではなく1/4度刻みって……。通常要求されるのは、1時間に15度だったり、せいぜい20分で5度くらいです。いちいち数値設定が細かいのは、2.(2)や3.(2)も同様です。

ラストの問題である3.(2)が個人的に一番難しく感じました。問5の中でなく、全体の中で最難関だと思います。5日間という天体では短めの時間でも、月にとっては大きな動きになるあたりが難しさの所以ではないでしょうか。太陽・地球・月・星座を模式図で表せば簡単に理解出来る問題ですが、頭の中で考えるとパンクします。ぜひチャレンジして欲しい問題です。

まあ、この問題を解いて受験生に感じて欲しいのは、地学は暗記じゃないという事です。私はむしろ化学分野の方が暗記に頼る分野だと思っています。

方針と対策

受験生は中3の内容や、物理分野・化学分野に力を入れる傾向がありますが、むしろ元々難しめの分野より、生物分野の手応えタップリな問題の演習をきちんとしておくべきでしょう。難しいと評判の都道府県は、生物分野にその差を感じます。生物はボーナスステージではありませんので、勘違いなさらないよう。

また、1つ1つの知識をインプットする際、常に根拠を考える習慣を付けましょう。固有名詞に根拠はありません。理科で言えば、マツやイチョウという名前に根拠を求める必要はありません。由来はあるんでしょうけど。

しかし、裸子植物という名称には根拠があります。「種『子』が裸になっている」「『子』房がなく裸になっている」などですね。更に、裸子植物という名称だけでなく、関連する知識をどんどんつなげてインプットをします。例えば、裸子植物→子房が無い→果実が無い→虫や鳥は食べない→種子を風で飛ばす→風に乗りやすい形状になっている、のように。また、虫や鳥は食べない→おびき寄せる必要が無いから花弁がない、と関連します。

雌花が先端についているのも、ただ丸暗記するのではなく理由を考えます。納得しやすいのは、風で花粉を飛ばすため、飛んできた花粉がくっつきやすい位置に雌花があった方が良い、つまり先端にある、といった感じです。(ホントかどうか知りませんが)

このように、覚えるだけから脱却し、「頭を使う習慣」が身についているか否かが明暗を分けます。神奈川や兵庫のように難問が数多く出題される県に住んでいる中学生は、ぜひ日頃の理科の学習の際に思考の訓練を積み重ねて欲しいと思います。

あとがき

なぜ兵庫県をいきなり取り上げたのかと言えば、どこを解こうかな~とパラパラ流し読みをしていたときに、異様なオーラを発していたからです。特に、問5の昼夜の地域の図を見たときにコレはただ者じゃ無いと直感しました。

神奈川県が難しい部類に入りますので、今後も取り上げる都道府県は比較的難易度が高いところになると思います。

近年解いた中では東北勢が比較的簡単めだったのですが、今年は難易度が上がってるでしょうか。青森県とか秋田県あたりはメチャメチャ簡単だったのですが、どう変化しているのか楽しみですね。

ということで、初っぱなから高難易度だったので高いテンションのまま筆が乗ってしまい、5500字オーバーでお送りしました。