2019夏期特訓のお知らせ

自由研究の考察が難しい?いえいえ、自由研究は実験前に決まるんです

顕微鏡写真

日頃から「早めに自由研究に取り組みなさい」と生徒に言っている効果があったのか、先日ある中3生から相談を受けました。

聞けば、テーマは決まったので、実験に関してアドバイスをして欲しいとのこと。

よくぞ実験前に来てくれました。実験をしてしまったら、こちらで手を出せる部分はほとんど無くなってしまいますからね。

自由研究の善し悪しは実験内容でほぼ決まる

自由研究の難しさを示す3つの壁があります。

最も難しいのは「テーマの決定」です。理系の大学生は卒業研究を行いますが、大学生でさえ肝心のテーマはちゃんと指導教官がアドバイスをくれます。完全に自分で決めている訳ではありません。ゼロから研究テーマを探すのは、それだけ高度なことなのですね。

次に難しいのは、「実験内容の設定」です。あまりまともに自由研究に取り組んだ経験の無い生徒ほど、「まとめが上手くいかない」と言いますが、実は良い実験結果が得られていれば、結論は簡単に出てきます。反対に、実験がずさんだと、何も結論が得られないまま終わります。そりゃ、まとめも上手くいくわけありません。

ということで、「結果・考察・まとめ」はそれほど難しくありません。ただし、実験を失敗したときのまとめの難しさは想像を絶するものがあります。否、想像で書くしかないレベルですね。

アドバイスに来た生徒は、私の言っていたことを守っていたのです。「テーマが決まったら相談においで」と。そう言っておいたのは、実験する前に来て欲しいからです。

実験設定のポイントは「対照実験」

自由研究の評価を大きく左右するのは、「対照実験」が出来ているかどうかに尽きるでしょう。中1からたびたび登場する対照実験というワード、ただテストのために覚えている人は宝の持ち腐れです。

対照実験とは

もしかしたら対照実験を知らない小学生が見ているかもしれませんので、簡単に説明しましょう。

対照実験とは、「比べたい部分以外の条件を全部そろえて行う実験」です。小学校でやる実験はほとんど対照実験になっていませんけどね。

対照実験の例

小学生でも分かる例を挙げましょう。何か植物の種をまいたとします。実験装置を3つ用意しました。

1:土に肥料を混ぜ、水をあげて日向においたもの
2:土はそのままで、水をあげて日陰においたもの
3:土に肥料を混ぜ、水をあげずに日向においたもの

さて、このとき種から芽が出てくるのは1と2です。そこからどんな結論が出せるでしょうか?

正直言って、何の結論も出てきません。

1と2を比べた場合、どちらも芽が出てくるのです。果たして芽が出た理由は何でしょうね。

もし肥料を混ぜたからだとすると、2で芽が出てくる理由がわかりません。同じように、日向に置いたからではなさそうですね。日陰でも芽が出るのですから。

それなら、「水をあげたから芽が出てきたんだ!」と言うかもしれませんが、それも正しくありません。一見1・2と3を比べたとき、水をあげたら芽が出てきているので正しいと思ってしまいます。もしかしたら、こういうことも考えられないでしょうか。

「日陰なら無条件で芽が出るけど、日向なら水をあげたときだけ芽が出る」

これなら、水をあげることが条件だとはいえません。残念です。恐らく屁理屈をこねているだけじゃん!と思うでしょうし、事実書いている私もそう思いますが、やはりこの実験で結論は出ません。

ここにもう1つ実験装置を加えます。

4:土はそのままで、水をあげずに日陰においたもの

4の場合、芽は出ません。分かりやすいように2と4を並べてみましょう。

2:土はそのままで、水をあげて日陰においたもの
4:土はそのままで、水をあげずに日陰においたもの

違いは水をあげたかどうかですので、水をあげる必要がありそうです。また、1と3を比べてみましょう。

1:土に肥料を混ぜ、水をあげて日向においたもの
3:土に肥料を混ぜ、水をあげずに日向においたもの

これもやはり、水をあげた方だけ芽が出ます。

この2つの結果を合わせると、「芽が出るには水が必要」という事が確かめられます。

面倒くさい?でも、手間を使い、頭を使うことが評価につながるんですからね。

闇雲に実験を設定すると今回のように大変なことになりますから、「芽が出るには水が必要」という事を確かめたいなら、次の実験装置を用意すれば良いのです。

1:土はそのままで、水をあげて日向においたもの
2:土はそのままで、水をあげずに日向においたもの
3:土はそのままで、水をあげて日陰においたもの
4:土はそのままで、水をあげずに日陰においたもの

肥料という要素は一旦置いておいて、水をあげるかあげないかだけを変えます。日向と日陰に差が無いことを確かめるため、3と4も用意します。

結果は1と3だけ芽が出ます。つまり、日向に置こうが日陰に置こうが、水をあげたときに芽が出る事が確かめられました。実際の条件は「水・空気・適当な温度」の3つが必要なのですが、空気と温度は全て同じなので、ここでは考える必要がなくなっています。

確かに実験の設定が難しいので、小学生の自由研究には求められません。しかし、対照実験は中1で学習します。しかも第1回目のテストに出題される内容です。中学生なら、やはり自由研究でも対照実験の要素を無視できないでしょう。

実験の設定に困ったら、ぜひ学校の先生に相談しましょう。それだけでも注目されると思います。そんな殊勝な子がそもそも希有ですからね。

ネットのテーマと実験がダメな点

ズバリ、対照実験を考えたものがほとんど無いことです。

ネットでテーマを提供してくれているものは、「実験のしやすさ」に主眼が置かれています。

数多くの実験=対照実験をして1つの結論にたどり着く、という方法は手間がかかるため、みんな敬遠します。

そこで、ネットで与えられているテーマの多くは、実験を1つ行って仮説が「再現」されるかを確かめるものになっています。仮説が「正しい」ことを確かめるのではありません。

あの有名な「フルーツ電池」の実験もそう。フルーツを使って電気が付いた=確かにフルーツは電池になったね!おめでとう!と言っているだけ。何が楽しいんでしょう。これで高評価がもらえるわけ無いのは明らかです。

フルーツが電池になるのはHPに書いてあるわけで、それをなぞったところで1つも発見がありません。どうせ柑橘系のフルーツを使っているのでしょうから、ウリ科(野菜ですけど)で試してみたり、フルーツのバリエーションを広げてみたり、バリエーションを広げるのも良いですね。電池を直列につなぐようにフルーツをたくさんつないだらどうなるかを調べるのも、まあ悪くはありません。

しかし、フルーツを変えて結果が異なったとき、その原因が何なのか特定しなければ研究とは言えません。電池として優秀だったフルーツが他と違う点を比較するのです。それが成分なのか、水分量なのか、様々な要因が考えられます。実験というのは、それを特定するのが目的ですから、やはり実験設定がものを言うのです。

百歩譲ってテーマはネットから引っ張ってきたとしても、実験の内容を工夫しないと、研究としてはダメダメな成果になってしまいますよ。

良い実験には予備実験が必要

よい研究をしたいならば、本番の実験のために事前に行う「予備実験」がオススメです。

私が小4でやった「カイワレダイコンの生長」に関する研究を例に取ってみましょう。ウチは当時珍しく「アルカリイオン水」を作る器械が自宅にあり、親がこだわって使っていたのです。私は「こんなんタダの水と何が違うの?」と疑っていたので、その水でカイワレを育ててみたら何か違いがあるのかを確かめてみたかったのです。まあ、親に対してデータを突きつけたかったんですよね、要は。

さて、カイワレを育てるにあたり、分からない事があります。それは、「カイワレって普通どのくらいで育つのか」です。

そこで、普通の水道水でカイワレをごく普通に育ててみました。何日かはもう忘れましたが、カイワレがどのくらいで育つのかはその実験でハッキリしました。これが予備実験です。

予備実験で確かめたカイワレの育つ期間を実験期間と設定して、件のアルカリイオン水を初めとした色々な水で比較してみました。こうして予備実験をすることによって、本番の実験がより良いものとなるのです。

ちなみに実験の結果、アルカリイオン水で育てたカイワレは恐ろしいほどよく成長し、私はぐうの音も出なくなったのでした。

フルーツ電池の実験で言えば、電流が流れたことを確かめるのは何が適切かを予備実験しておくと良いです。電流が弱いので、豆電球やモーターは失敗します。検流計がベストですが、あえて理科室の装置に頼らないのもオススメですね。発光LEDだったり、光電池用のモーターだったり、最も良い実験結果が得られるような装置作りを予め予備実験で確かめると、先生からの評価もうなぎ登りです。

あ、もちろん予備実験も自由研究に書きましょうね。予備実験をしている中学生はほぼいませんので、ぜひトライしてみましょう。

まとめ

良い実験結果さえ得られれば、結論を出すのはとても簡単。そうと知らずになんとなく実験をしてしまうと、あとでツラくなります。

まず予備実験を行い、しっかりとした実験装置や設定を考る。メインの実験では対照実験を意識して行い、結論を導きやすくする。ここまでやれば、もうゴールは間近です。皆さんが苦手とする考察やまとめも簡単に進むと思います。

何より、理科の先生の期待する要素を全て満たすことが出来ます。私は学校の先生では無いので想像でしかありませんが、きっと先生たちはガッカリしていると思うんですよね。せっかくのテーマも、実験次第でいかようにも変わってしまいます。

ぜひ先生をうならせるような、良い研究をして下さいね。ウチの生徒たちはどんどん相談に来て下さい。自分でやってこそ研究ですのでヒントしか出しませんが、それだけで化けると思いますよ。